結縁潅頂
蓮華が咲き乱れる道を進む。今正に御仏様の御前にやって来た。指先に渡された花は、諸々の仏達の中のお一人と結ぶ唯一のものだ。自身の全ての花に託し、そっと指先を開く。花は仏の蓮華座となって、静かに落ちていく。そして千載一遇のみ仏と出会う事となる・・・
こうしてお大師様は御年三十二才の時、唐の都・長安にある青龍寺に於いてこの儀式に入檀(儀式を受けること)されました。お大師様は在等唐中に二度入檀されましたが、いずれも中尊大日如来さまの上に花が落ちたと伝えられています。この儀式を「潅頂」(がんじょう)と言います。
お大師様は唐の恵果和尚より金剛・胎蔵の両部の大法を学ばれ、帰朝されてからは弘仁三年(812)十一月に京都の高雄山寺にて金剛界、続いて十二月に胎蔵潅頂を厳修されました。
潅頂の種類は多様で、中でも僧俗を問わずどなたでも金剛・胎蔵の諸仏と縁を結ぶことが出来る潅頂を特に「結縁潅頂」(けちえんかんじょう)と言います。受者は印と真言を面授され、その両目を覆われます。印の先には花を授けられ蔓茶羅へと導かれます。そして花を蔓茶羅に投ずる事によって蔓茶羅の諸仏と「仏縁」を結びます。これを「投花得仏」(とうけとくぶつ)と言います。次に如来の智慧の水を阿闍梨様より注いでいただきます。そうする事によって煩悩の闇をさまよっている我々に道しるべを与えて頂きます。この時を機会に、本来私たちの心の中に備わっている仏の「眼」を次第に開眼する事が出来るのです。『金剛頂瑜伽中略出念誦経』と言うお経の中にはこの潅頂について次のように説いています。
「一切衆生を悉く救わんが為にその器たると否とを論ぜず、また大罪を犯した者も尽引入せしめし、一度この大檀を遙見し、入檀すれば、一切の罪障を遠離す」
つまり全ての生きとし生ける者を救うために、潅頂の儀式にのぞむ者の素性を問わず、また大罪を犯した者も一人残さず儀式にのぞませ、ひとたび蔓茶羅(大檀)を遙見し、儀式を受けることが出来れば、一切の罪障が遠離することが出来ると説いています。
現在高野山では毎年五月三日より五日までを胎蔵界、十月一日より三日まで金剛界にて「結縁潅頂」を開檀しております。どうか一人でも多くの方にお勧めいただき、この尊い仏縁にお触れいただいて、心豊かで幸福な毎日を送られますことをお祈りいたします。
<春季> | <秋季> |
5月3日 午前8時30分〜午後2時まで |
10月1・2日 午前8時30分〜午後4時まで |
5月4日 午前8時30分〜午後4時まで |
10月3日 午前8時30分〜午後3時まで 1日午前8時より 「庭儀結縁灌頂三昧耶戒」の 法会がございます。 |
5月5日 午前8時30分〜午後3時まで 3日午前8時より 「庭儀結縁灌頂三昧耶戒」の 法会がございます |
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【入壇費用】お一人様 春・秋共に3000円 | |
【持ち物】特に必要ございませんが、お持ちでしたら御袈裟・念珠をご持参下さい。 |